2025/02/16
マンジャロ(一般名:チルゼパチド)とリベルサス(一般名:セマグルチド)は、どちらも2型糖尿病治療薬として使用される薬剤ですが、その作用機序や効果、服用方法、副作用などにいくつかの違いがあります。以下に、それぞれの特徴と違いをわかりやすく説明します。
- 薬剤の概要
マンジャロ
- 有効成分:チルゼパチド
- 薬効分類:GIP/GLP-1受容体作動薬(デュアルインクレチン受容体作動薬)
- 投与方法:週1回の皮下注射
- 承認:2型糖尿病の血糖コントロールおよび肥満治療目的で使用される
- 作用機序:GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)受容体およびGIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)受容体に同時に作用し、インスリン分泌促進、血糖値の改善、食欲抑制、体重減少を促進する
リベルサス
- 有効成分:セマグルチド
- 薬効分類:GLP-1受容体作動薬
- 投与方法:経口薬(1日1回)
- 承認:2型糖尿病の血糖コントロール目的
- 作用機序:GLP-1受容体を活性化することでインスリン分泌促進、血糖値の低下、胃内容物排出遅延、食欲抑制を行う
- 作用機序の違い
- マンジャロ:GIPとGLP-1の両方の受容体に作用する「デュアルインクレチン薬」。GIPはインスリン分泌促進に加え、脂肪蓄積抑制や体重減少効果を持つ。
- リベルサス:GLP-1受容体のみをターゲットとする単一インクレチン薬で、血糖降下作用や体重減少効果は優れているが、GIPの作用はない。
- 有効性と効果
血糖コントロール
- マンジャロ:HbA1cの低下幅が平均2.0~2.5%と報告されており、インスリン治療と比較しても優れた効果を示す。
- リベルサス:HbA1cの低下幅は平均1.0~1.5%で、注射剤のGLP-1作動薬(オゼンピック)に比べると効果はやや劣るが、経口薬としては高い効果を発揮する。
体重減少効果
- マンジャロ:体重減少効果が顕著で、臨床試験では平均約10~15%の体重減少が確認されている。
- リベルサス:体重減少効果は平均約5~7%で、体重管理効果も期待されるが、マンジャロには劣る。
- 服用方法の違い
薬剤名 |
投与方法 |
投与頻度 |
服用条件 |
マンジャロ |
皮下注射 |
週1回 |
時間帯を問わず投与可能 |
リベルサス |
経口薬 |
毎日1回 |
空腹時に服用し、服用後30分は飲食・他薬剤を避ける |
- 副作用の比較
共通する副作用(消化器症状が主)
- 悪心、嘔吐、下痢、便秘、腹痛
マンジャロ固有の副作用
- 低血糖(特にSU薬併用時)
- 注射部位反応
- GIP受容体作用による胃腸障害の可能性
リベルサス固有の副作用
- 経口薬であるため胃腸障害が発生しやすい
- 服用時の不適切な水分摂取による食道炎リスク
- 対象患者と適応症の違い
項目 |
マンジャロ |
リベルサス |
対象 |
2型糖尿病および肥満患者 |
2型糖尿病患者 |
肥満治療 |
米国FDAで適応取得(日本は未定) |
日本では未承認 |
心血管リスク |
心血管アウトカム研究が進行中 |
セマグルチドは心血管イベントリスク低減効果確認 |