2025/02/21
フォシーガの血糖低下作用と体重減少効果
フォシーガ(一般名:ダパグリフロジン)は、SGLT2(ナトリウム・グルコース共輸送体2)阻害薬に分類される糖尿病治療薬であり、血糖値の低下や体重減少に寄与します。
- 血糖低下作用
(1) 作用機序
フォシーガはSGLT2を阻害することで、腎臓でのブドウ糖の再吸収を抑え、尿中に排泄させることで血糖を下げます。
- 通常、腎臓はSGLT2を介して尿細管でブドウ糖を再吸収しますが、フォシーガはこの機能を抑制し、尿中にブドウ糖を排泄させます。
- その結果、血糖値が下がり、インスリン分泌に依存しない血糖低下効果が得られます。
(2) 特徴
- 低血糖リスクが低い:インスリン分泌を直接刺激しないため、単独使用では低血糖リスクが低い。
- HbA1cの改善:臨床試験では、フォシーガの使用によりHbA1cが0.5~1.0%程度低下することが示されています。
- 体重減少効果
(1) 作用機序
- フォシーガの主な体重減少作用は、「尿中ブドウ糖排泄によるカロリー喪失」によるものです。
- 1日あたり約200~300 kcalのブドウ糖が尿とともに排泄され、これが長期的に体重減少につながります。
(2) 臨床試験結果
- 体重減少は 約2~3kg(使用期間6か月~1年)程度の減少が確認されています。
- インスリン抵抗性の改善や、内臓脂肪の減少も示唆されています。
(3) 追加のメリット
- 体重減少により、糖尿病患者の インスリン感受性が向上 し、さらなる血糖コントロールの改善が期待できます。
- 心血管疾患リスクの低下や腎機能の保護効果も報告されています。
- 注意点
(1) 副作用
- 尿路感染症・性器感染症:尿中の糖濃度が高くなるため、細菌や真菌が増殖しやすく、感染症リスクが上昇する。
- 脱水・血圧低下:利尿作用があるため、脱水や低血圧に注意が必要。
- ケトアシドーシス:特にインスリン分泌が極端に低下している患者では、血糖値がそれほど高くなくてもケトアシドーシスが発症する可能性がある。
(2) 使用時のポイント
- 十分な水分補給を心がける(脱水・血圧低下対策)。
- 感染症予防。
- インスリン治療中の患者ではケトアシドーシスのリスクに注意。